こだわりのカップでおいしいひとときを 「珈琲館 信州安曇乃」
時に陽気な、時にしっとりとしたジャズが流れる。オレンジ色に灯された、温かさを感じる店内。JR六甲道駅のすぐそばにあり、たくさんの商業施設がひしめき合う比較的賑やかな街中にありながら、珈琲館 信州安曇乃だけは全く別の空間だ。
優しい笑顔が素敵なオーナーの上仲さん
10年間の会社員生活を経て、カフェをオープン
オーナーの上仲洋一(うえなかよういち)さんが店をオープンしたのは1986年、28歳の時。18歳で鉄鋼関係の職に就き、その後ホテルの営業や配達業などの職種を経験したが、当時から好きだったのがカフェでコーヒーを飲むこと。特に店主や他のお客さんと会話して楽しめるカウンター席のある店がお気に入りだった。
「カウンター席の正面にたくさん素敵なカップがあるカフェがありました。素敵だなと思って眺めていたのですが、お客さんに出されるのは味気ない白いカップ。店主に尋ねると、ショーケースに入っているカップは飾りだということでした」
一杯ずつ丁寧にドリップする
カップはカフェを一緒につくり上げる「従業員」
その後、カフェを始める決意をした上仲さんはコーヒーを飲むカップにもこだわり、輸入食器店や百貨店で自分が「憧れる」カップを一つずつ集めていった。カウンター越しに並ぶ、色とりどりのカップを上仲さんはカフェを一緒につくり上げる「従業員」と呼ぶ。そうした言葉からも上仲さんの店に置く一つひとつのものへの愛着や愛情がひしひしと伝わってくる。
「カップはそのお客さまのフィーリングで選んでいます。常連さんの中にはこのカップでお願い、と言われる方もいますよ。お好みのものがあればぜひおっしゃってください」
ブレンドコーヒーとケーキを注文。ケーキは六甲にある「エミル」のもの。どちらもこだわりのおいしい一品
店名「安曇乃」の由来
店名は長野県の安曇野が好きでつけた名前だそう。固有名詞だとイメージが固定される気がして、漢字は「柔らかいイメージになるように」と、あえて安曇乃とした。
自然豊かで都会のように便利過ぎない。夜空を見上げると、手が届きそうなくらいの満天の星空。眺めていると、地球は惑星の一つなのだと改めて実感する。自分の人生は長い歴史で見ると本当に一瞬で、日々悩んでいることなんてちっぽけなものだと思うと、日々楽しく生きる方がいい、という思いでつけた。
お客さまの想いが詰まったふくろう
カップともう一つ、ひときわ店内で存在感を放っているのが、ふくろうの置物。なんとその数、1400体。やわらかな丸みと、鳥では珍しく人間と同じように目が正面についているのが好きで集めるようになった。開店当時は6体だったが、お客さんからお土産や贈り物としてもらうように。現在あるふくろうの5分の4はお客さんからもらったものだそうだ。
「お客さまが旅行のお土産としてわざわざ持って来てくださったり、手づくりしてプレゼントしてくださったり。まさか、こんなに増えるとは思っていなかったので、本当にありがたいことです」
さまざまな種類のふくろうがいっぱい
カウンター席はファーストクラス
安曇乃はカウンターテーブルがとても長く12席あるが、ここにも上仲さんのこだわりが込められている。
「オーナーと会話したり、悩みを相談しているうちに隣のお客さんと知り合いになったりと普段会社では出会えないつながりができるカウンター席。会社員時代から好きで、カフェをするならカウンター席が中心の店にしようと思っていました。もちろん、お好きな席に座っていただいたらいいのですが、カウンター席はカフェのファーストクラスだと思うんです。悩みを聞いてもらったり、他の人の話に共感したり・・・。もやもやしていた気持ちが晴れやかになることや、考えの幅が広がることもあります」
落ち着いた色合いの空間
一方でカフェオーナーとしてモットーとしているのは「お客さまとの距離感を大切にする」こと。
「静かに過ごしたい、お友達や恋人とゆっくりお話ししたいお客さまには必要以上に接客しないように心がけています。もちろん、お水をお注ぎしたりはしますが、こちらからはあまり話しかけません。常連さんでおしゃべりを楽しみたい方は私の定位置の入り口付近のカウンター席に座られます。そんな時はこちらも楽しくお話しさせていただきます」
一歩足を踏み入れると町の喧騒や日々の慌ただしい生活から切り離され、心地よい時間を過ごせる安曇乃。コーヒーを飲むだけでなく、オーナーの上仲さんとのおしゃべりも楽しみたい。
メニューはすべて600円
【店舗基本情報】
店名: 珈琲館 信州安曇乃(しんしゅうあずみの)
住所: 兵庫県神戸市灘区森後町1-4-3
電話: 078-841-9501
営業時間: 11:00~22:00(21:30LO)
定休日: 月曜日(月曜日が祝日の場合は営業、翌日休み)
その他: 全面禁煙
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